「中学生の4割超が外国人増加に否定的」。2026年11月7日、こんな調査結果が報じられました。3年ほど前には2割を少し超える程度だったのに、2025年の調査では4割超。見出しだけを見ると、「今の中学生は外国人を嫌っているの?」と感じる人もいるかもしれません。
ただ、私はこのニュースこそ、見出しの一歩先まで読んでほしいと思っています。なぜなら、問われたのは外国人一人ひとりの好き嫌いではなく、「外国人の増加が社会に良いことをもたらすと思うか」という社会全体への評価だからです。似た話に見えても、意味はかなり違います。
そして、もう一つ大切な数字があります。同じ調査では、寛容さに関わる「リベラル的志向」を示す生徒も9割超だったというのです。外国人の増加に慎重な気持ちがありながら、他人に寛容でありたい。そんな、一見矛盾するようで実は身近な感覚が浮かび上がりました。
この記事では、共同通信が伝えた東京大学・仁平典宏教授の分析をもとに、2022年から2025年に何が変わったのか、ネットの影響はどこまで分かっているのか、そして家庭や学校でどう話し合えばいいのかを、私なりに丁寧に整理します。子どもにも外国人住民にもレッテルを貼らず、数字の読み方から考えていきます。
調査結果の3つのポイント
4割超は何を意味するのか
報道によると、外国人の増加を「社会にとって良いことが多いと思わない」と考える中学生が、2025年の調査で4割を超えました。2022年の2割超と比べると、割合はほぼ倍になっています。変化の大きさは見過ごせませんが、まず押さえたいのは質問の対象です。
例えば「今いる外国人の友達が嫌いですか」と尋ねた結果ではありません。「外国人が増えた場合、日本社会に良いことが多いと思うか」という趣旨の質問に対する評価です。受け入れの制度、地域の生活、言葉の壁、労働環境、交通ルールなど、回答者が思い浮かべるテーマは一人ひとり違っていてもおかしくありません。
だから「4割の中学生が外国人を拒絶した」と言い換えるのは正確ではありません。外国人の増加に対する不安と、目の前の個人への態度は別の問題です。調査結果を読むときは、元の質問と答えの選択肢を切り離さないこと。これだけでニュースの受け取り方がかなり変わります。
また、「4割超」は大まかな表現です。今回参照できた共同通信の記事には、2022年と2025年それぞれの小数点以下を含む正確な比率や、全回答選択肢の内訳は示されていません。具体的な数値を推測してグラフに描いたり、残りの生徒を全員『賛成』と扱ったりしないよう注意が必要です。
調査は首都圏の公立中10校
今回の分析で使われたのは、首都圏にある公立中学校10校の生徒約2,000人を対象とする調査です。調査自体は2012年から続けられ、報道では主に2018~2019年、2022年、2025年のデータが分析対象とされています。
長く続けてきた調査だからこそ、時期ごとの違いを見る意義があります。その一方で、首都圏の公立中10校という範囲を忘れてはいけません。学校や地域が異なれば、外国人住民と接する機会も、地域の産業も、ニュースに触れる環境も違うからです。
この結果をそのまま「全国の中学生の4割」と断定することはできません。報道に示されている範囲では、標本の抽出方法や学校ごとの人数、回答率、統計的な誤差についても詳しく確認できていません。全国の中学生全体への広がりを判断するには、追加情報が必要です。
言い換えるなら、今回のニュースは「全国の子どもたちの気持ちが決まった」という話ではなく、「首都圏の調査で無視できない意識の変化が見つかった」という話です。対象を丁寧に書くことが、調査を尊重する第一歩だと私は思います。
寛容さを示す生徒は9割超
もう一つ注目したいのが、調査では「リベラル的志向」を示す傾向が9割を超えたと報じられた点です。ここでいう言葉は、特定の政党を支持するという意味に限りません。報道では、寛容さなどに関わる価値観として紹介されています。
外国人が増えることへの評価が慎重になった一方で、寛容さまで失われたとはいえない。仁平教授が「単なる保守化という捉え方はできない」と分析した理由の一つも、そこにあります。意見を一本の線で「右か左か」と並べるだけでは、実際の気持ちが見えなくなります。
私たち大人だって似たことがあります。外国人の受け入れ制度には疑問を持ちつつ、同じ職場で働く外国人の同僚とは仲良くしたい。生活上のルールを守ってほしいと考えながら、困っている人への差別には反対する。こうした感覚は、必ずしも矛盾ではありません。
「制度についての賛否」「個人への尊重」「地域のルール」「文化の違いへの理解」。本来は分けて考えられるテーマを一つのラベルに押し込めると、子どもたちが何に不安を感じているのか、何を大切にしているのかが分からなくなってしまいます。
『ルール厳守』と意識の関係が変わった
共同通信の記事によると、仁平教授の分析では、過去の調査でルールを重んじる生徒は外国人の増加に肯定的な傾向がありました。ところが2025年には、ルールを破った人を厳しく罰するべきだと考える生徒のほうが、外国人の増加に否定的になる傾向が見られたといいます。
この変化はとても興味深いところです。「ルールを守ってほしい」という思い自体は、社会で暮らすうえで誰にでも関わるもの。問題は、ルール違反を誰か特定の属性と結び付けて考えるかどうかです。
日本人でも外国人でも、ルールを守る人もいれば、違反する人もいます。違反があれば事実関係に応じて対応することは大切です。しかし、一部の行動から国籍や出身地の人々全体の性質を決めつけてしまうと、話は別の方向に進んでしまいます。
調査が示したのは、ルールへの考え方と外国人増加への意識の「関連」です。ルールを大事にする子どもが必ず排他的になるとか、外国人の増加に慎重な子どもが差別的だと確定した、という意味ではありません。
数字の見方を整理しておこう
- 2025年調査では、外国人の増加を「良いことが多いと思わない」中学生が4割超
- 2022年調査では同じ趣旨の回答が2割超で、2025年はほぼ倍
- 寛容さなどの「リベラル的志向」を示す傾向は9割超
- 調査対象は首都圏の公立中学校10校、約2,000人
- ネットの影響は研究者が挙げた可能性であり、因果関係の断定ではない
この5点を一緒に読むと、見出しの印象だけで「中学生が急に排外的になった」と決めつけることができない理由が見えてきます。数字は重要です。ただし、数字の意味は質問文、対象者、分析方法とセットで考える必要があります。
ネットの影響説を検証
教授は何を指摘したのか
今回の報道で大きく取り上げられたのが、インターネットの影響です。仁平教授は、2025年の参議院選挙に関連して、外国人の行動を否定的に語る言説がネット上で急に増えたと指摘し、子どもたちの回答にもウェブ上の情報が強く反映された可能性があると述べています。
ここで大事なのは「可能性」という言葉。ネット上の言説と調査結果の変化が同時期に見られたとしても、それだけで「SNSを見たから外国人を否定的に考えるようになった」と証明したことにはなりません。
子どもが何を閲覧したのか、どのくらいの頻度で接したのか、その前にどんな考えを持っていたのか。こうした情報を組み合わせて初めて、影響の方向や大きさを慎重に考えられます。今回の記事の限られた情報から、それらすべてを確認することはできません。
研究者の見方を紹介することには意味があります。ただ、仮説を「真相が判明した」と言い切らないことも同じくらい大切。私たちがニュースを読むときに持ちたい姿勢です。
SNSは意見をどう見せるのか
スマホでニュースを見ていると、似たテーマの動画や投稿が続けて表示されることがあります。自分で検索したものだけでなく、注目されている投稿や友人が共有した情報にも触れます。短い映像や強い言葉ほど記憶に残った経験がある人も多いと思います。
例えば、外国人が登場する事件の切り抜きを何度も見たとします。それが実際に起きた出来事だったとしても、切り抜きだけでは発生件数や背景、ほかの事例との比較まで理解できるとは限りません。見た回数が多いと、実際の頻度まで多く感じることもあります。
反対に、外国人住民が地域の行事に参加する様子や、言葉を学びながら働く姿を多く見れば、受ける印象が違うかもしれません。どちらか片方の情報だけで社会全体を理解するのは難しい、という点は変わりません。
さらに、投稿に寄せられたコメントは「世の中の平均的な意見」と同じではありません。積極的に書き込む人と、読むだけの人では表に出る言葉の量が違うからです。大量のコメントを見て「みんなそう思っている」と判断しないことが大切です。
テレビだけ、ネットだけでは足りない
「ネットが悪い」とだけ言ってしまえば、話は簡単です。でも、それでは何も解決しません。テレビにも編集の仕方があり、新聞にも掲載する情報の選択があります。ネットにも、公的機関の発表や当事者の声、研究資料など、役立つ情報がたくさんあります。
重要なのは媒体の名前より、情報の中身と確かめ方です。いつ発表された情報なのか。数字の母数は何なのか。動画が撮影された時期や場所は正しいのか。個別の事件を社会全体の傾向として扱っていないか。こうした問いを持つだけで、判断の精度は変わります。
特に移民政策や外国人住民の受け入れは、働き手の不足、地域の日本語教育、医療や学校の支援、住まいの問題など複数の論点を含みます。一つの事件映像や一人の発言で全体の賛否を決めるには、情報が少なすぎます。
私がすすめたいのは、情報源を一つ増やす習慣です。SNSで気になった話を見かけたら、自治体や省庁の資料、研究機関の発表、複数の報道機関の記事を一度見比べる。全部に詳しくなる必要はありません。少し確かめるだけでも、思い込みを減らせます。
別調査でも懸念の強まりが報告
中学生の調査と同じものではありませんが、比較の材料になる研究もあります。早稲田大学の研究グループが2025年に実施し、2026年に公表した「国際化と市民の政治参加に関する世論調査」では、外国人の増加に伴って治安や秩序が乱れることを懸念する割合が73%だったと報告されました。
この調査は18歳から79歳の有権者を対象とし、回答者は3,009人。首都圏の中学生約2,000人への調査とは、年齢も質問内容も方法も違います。だから73%と4割超を横に並べて、どちらが外国人に否定的かを比較することはできません。
早稲田大学の発表では、政治や社会問題の情報源としてSNSをよく利用する層では治安・秩序への懸念が84%、SNSをほとんど利用しない層では67%だったとされています。これはSNS利用と懸念の間に関連があることを示すデータです。
ただし、懸念の強い人がSNSを積極的に見るようになった可能性や、年齢・生活環境などほかの要因もあります。数字を見つけたからといって、すぐに原因を一つに絞らないようにしたいところです。
早稲田大学の調査でも、外国人の増加について誰を想定するかによって回答が変わると報告されています。「外国人」とひとまとめにした質問であっても、回答者が頭に思い浮かべる場面や人々は同じではない。そんな注意点が改めて分かります。
選挙の話題は日常にも入り込む
2025年の参院選では外国人政策が議論され、ネット上でも関連の話題が取り上げられました。選挙権を持たない中学生でも、家族の会話、動画のおすすめ欄、学校での雑談を通して社会の論点に触れることがあります。
しかし、どの政治的な主張が正しいかという判断と、データがどう集められたかという事実確認は分ける必要があります。外国人の受け入れを拡大するか慎重にするかは、制度や地域の受け入れ態勢を踏まえて議論できる政策の問題です。
その際に必要なのは、受け入れに賛成する人も慎重な人も、相手を一括りにして非難しないこと。生活上の課題を話すときに、特定の国籍の人全体へ根拠のない性格づけをしないこと。両方を守ることで、議論はずっと具体的になります。
選挙に関わる発言が子どもの意識を動かしたかを調べるには、さらに資料が必要です。選挙の話題が大きかったという背景は確認できても、その効果の大きさまでは今回の報道だけで計算できません。
共同通信公式のX発信を確認
共同通信の公式Xアカウント「@kyodo_official」でも、今回の「中学生4割が外国人増に否定的」という記事が紹介されています。個別投稿のURLは確認できなかったため、下には公式アカウントのタイムラインを設置しています。閲覧環境によっては表示されないことがあります。
最新投稿の並びは時間とともに変わります。記事そのものの内容を確かめる場合は、共同通信の記事が掲載された熊本日日新聞のページをご覧ください。SNSの反応を「全員の意見」と受け取らず、まず一次情報と報道の本文を読む姿勢が大切です。
家庭と学校でできること
子どもの不安を否定しない
ここまで読んで「それなら、子どもにどう声をかければいいの?」と思った人もいるかもしれません。私が最初に大切だと思うのは、子どもの疑問や不安を頭ごなしに否定しないことです。
例えば「外国人が増えるとルールはどうなるの?」と聞かれたら、「そんなことを考えるのはよくない」と返すのではなく、「どのルールが気になる?」「それはどこで見た話?」と一緒に具体化してみる。そうすれば、本人が気になっているのがごみの出し方なのか、交通の安全なのか、仕事の制度なのかが見えてきます。
不安の内容が分かれば、誰が何を説明できるかも整理できます。地域の生活ルールなら自治体の案内、学校生活なら担任や教育委員会、在留資格や制度の話なら公的資料。問題を切り分けると、漠然としたイメージから具体的な確認へ進めます。
そして、どんな疑問があっても「一部の行動をもって国籍全体を決めつけない」という線は大切にしたいところです。疑問を持つことと、属性だけで人を扱うことは違います。この違いを大人が落ち着いて説明することが、子どもの安心にもつながると思います。
まず『何を見た?』と聞いてみる
スマホに流れてきたニュースを子どもが話題にしたとき、最初から正誤を決めるより、情報の出どころを一緒に確認するのが実用的です。「どの動画?」「いつの話?」「元の記事はある?」という三つの質問なら、家庭でも気軽に使えます。
例えば短い映像で誰かがルールを破っているように見えても、その映像がどこで撮影されたのか、撮影前後に何があったのかは分からないことがあります。映像が本物だったとしても、映像についた説明文が正しいとは限りません。
反対に、投稿を疑うことは「その出来事は絶対に存在しない」と決めることでもありません。まず事実を探し、分からない部分は分からないままにする。この手順は、外国人問題だけでなく災害、健康、買い物、投資など、さまざまなテーマで役に立ちます。
子どもが自分で情報源を確かめられたら、その行動を認めたいですね。正解を早く言うこと以上に、確認する手順を身につけることが、次のニュースに出会ったときの力になります。
地域のルールは全員に共通
地域で生活する人が増えれば、言語の違いや制度の周知不足など、実務的な課題が生まれることがあります。そこを「何も問題はない」と片付ける必要はありません。ごみ出しや防災情報をどのように伝えるか、困っている住民が誰に相談できるか、といった問題は現場で考える価値があります。
ただし、課題の原因を国籍だけで説明すると、対応策が見えにくくなります。伝え方が不足していたのか、制度が分かりにくかったのか、ルール違反に対する対応が徹底されていなかったのか。原因ごとに手を打つほうが、住民全体にとって役立ちます。
ルールを守る義務や安全に暮らす権利は、特定の出身国の人だけに限られません。誰にとっても分かりやすい表示、多言語の案内、相談窓口、学校と地域の協力などは、暮らしを具体的に支える方法です。
外国人の増加に不安がある人も、外国にルーツを持つ人も、同じ地域で生活する当事者です。「安心して暮らしたい」という共通点から話を始めることは、意見が違う人たちの対話の入口になると私は感じます。
学校で大事なのは結論より過程
学校でこのニュースを取り上げるなら、最初に「賛成か反対か」を全員に言わせるより、調査の条件を読み解く授業が有効かもしれません。対象はどこか、質問は何か、「4割超」はどの選択肢の割合か。数字の意味を整理するだけでも学びになります。
そのうえで、「ネットが原因と言い切れるか」「自分が知っている外国人住民の経験だけで社会全体を語れるか」「ルールの大切さと差別をしない姿勢を両立できるか」と問いかける。これなら特定の政治的立場を正解として押し付けず、考える力を育てることができます。
話し合いの場では、外国にルーツを持つ生徒を代表者として扱ったり、突然『あなたの国ではどう?』と答えを求めたりしない配慮も必要です。本人の経験を聞くなら、話すかどうかを本人が選べることが大前提です。
大切なのは、生徒一人ひとりが安心して疑問を出せる環境をつくること。誰かを黙らせる授業ではなく、根拠をもとに話す授業。その積み重ねが意見の違いを扱う力につながります。
外国にルーツを持つ生徒の視点
今回の調査を語るときに忘れたくないのは、教室には外国にルーツを持つ子どももいるということです。自分の存在が、ニュースの中で「増えて良いか悪いか」の対象のように扱われたら、戸惑う子もいるかもしれません。
社会制度のあり方を議論することは必要です。一方で、すでに地域や学校で暮らしている一人ひとりの尊厳と安全は、政策の賛否とは別に大切にされなければなりません。これは誰に対しても同じことです。
文部科学省は、日本語指導が必要な児童生徒の受け入れ状況について調査し、支援の改善に活用しています。言語支援や学習環境の整備は、外国人住民の増減についてどう考えるかとは別に、今いる子どもの教育を支えるために必要な論点です。
目の前にいる友達やクラスメートを、遠くで見たニュースのイメージで判断しない。身近な人の経験を尊重しながら、制度については制度として考える。そんな整理ができれば、教室の空気も少し変わると思います。
大人が陥りがちな三つの失敗
一つ目は「ネットのせい」と言って話を終わらせることです。ネット上の情報が意識に関わる可能性はありますが、家庭での会話、地域での経験、政治的な議論など、考え方が形づくられる要素は複数あります。原因を一つに決めると、子どもの具体的な疑問が残ります。
二つ目は「中学生はみんな同じ意見」と思い込むこと。今回の調査でも4割超という割合は、全員を意味しません。ましてや地域を限定した調査から全国の子どもたちをひとまとめにするのは、データを越えた解釈です。
三つ目は「政策への慎重さ」と「個人への偏見」を混同することです。受け入れ人数や制度に疑問を持つ人もいれば、積極的な受け入れに賛成する人もいます。その違いを話し合うことと、出身地だけで相手の価値を決めることは別です。
これらは私自身も気をつけたい失敗です。ニュースを見てすぐ強い結論に飛びつきたくなることはあります。でも、ひと呼吸置いて「何が分かっていて、何がまだ分からないか」を整理すると、話す言葉が変わってきます。
すぐできる情報確認の四つの手順
- 見出しだけで判断せず、記事本文で質問文と調査対象を確かめる
- 『増えた』『倍になった』という表現は、比較した年と元の割合を確認する
- 研究者の『可能性』という説明を、証明済みの原因と読み替えない
- コメント欄や切り抜き動画だけでなく、研究機関・自治体・複数の報道にも当たる
この四つは、特別な専門知識がなくてもできる確認です。できれば記事を家族や友人と共有するとき、「4割が否定的だったらしい」だけでなく、「首都圏10校の調査で、しかもネットの影響は仮説だって」と一言添える。それだけで受け取る側も冷静に考えやすくなります。
子どもに対しても、すぐに答えを教える必要はありません。「一緒に調べてみよう」と言える関係があれば、ネット上の強い言葉だけに頼らずに済みます。ニュースを家庭の対話に変えるのは、案外そんな小さなやり取りからです。
よくある疑問に答える
「外国人の増加に否定的なら、その生徒は差別的なの?」という疑問には、今回の質問だけでは判断できない、と答えるのが適切です。政策や社会の変化への慎重な評価と、個人の権利を軽く扱う態度は同じではありません。
「ネットを見る子ほど否定的だと証明されたの?」という疑問にも、今回確認できる情報では断定できません。仁平教授はネットの影響を指摘していますが、個々の生徒の閲覧履歴と意識の変化を直接結び付けた証拠が、記事中に提示されているわけではありません。
「2022年の2割超から倍になったのは、正確には何ポイント増?」という質問については、記事に細かな百分率が載っていないため計算できません。『2割超』『4割超』『ほぼ倍』という報道の範囲で受け止める必要があります。
「外国人の受け入れについて不安を話してはいけないの?」という疑問には、そんなことはありません。制度の課題や生活上の困りごとは、むしろ具体的に話し合う必要があります。大切なのは、確かめられる事実を使い、相手の出身地だけで一人ひとりを決めつけないことです。
このニュースから考えたいこと
この調査が教えてくれるのは、社会への評価が短期間で大きく変わり得るということです。そして、若い人の気持ちは単純な「賛成派」「反対派」だけでは説明できないということでもあります。
私が気になるのは、4割という数字が一人歩きして、「中学生の本音はこうだ」と決めつける材料に使われることです。調査は現実を知る手掛かりですが、そこから先にどんな言葉をつなげるかは、受け取る側の責任でもあります。
外国人の増加による課題を話すときも、プラスの面を話すときも、現場の具体的な情報が必要です。不安を訴える人を黙らせず、外国にルーツを持つ人の尊厳も守る。片方を犠牲にしない議論を続けることが、結果として地域の安心につながるのだと思います。
今回の数字をきっかけに、学校や家庭で「ニュースの読み方」そのものを話し合ってみる。それならば、立場の違う人たちにとっても意味のあるニュースになるはずです。
まとめ
2026年11月7日に伝えられた東京大学・仁平典宏教授の分析では、首都圏の公立中10校を対象とした調査で、外国人の増加を社会にとって肯定的に見ない生徒が2025年に4割を超え、2022年の2割超からほぼ倍になったとされました。
一方で、寛容さなどの「リベラル的志向」を示す傾向も9割を超えています。この二つを合わせて読むと、子どもたちの価値観を「単純に保守化した」「外国人を嫌っている」と一言で片付けることはできません。
ネット上で外国人に関する否定的な言説が増えたことが影響した可能性は指摘されていますが、今回の報道だけで因果関係は証明されていません。子どもを責めるのでも、ネットに原因を押しつけるのでもなく、質問の意味や情報源を確かめながら対話していきたいですね。
私はこの調査を、誰かを敵にするための数字ではなく、社会がどう変わっているのかを一緒に考える入口として受け止めたいです。意見が違う相手の話も聞き、実際の課題には具体的な対策を考える。そんな前向きな話し合いに、このニュースがつながってほしいと思います。
参考記事・資料(2026年11月7日確認):

