「外国人の犯罪率は日本人の約1.8倍。殺人は3.5倍、強盗は3.3倍、傷害は2.1倍」
2026年10月27日、参議院法務委員会で日本保守党の北村晴男議員が取り上げた数字が、外国人受け入れ政策を考えるうえで注目を集めています。
さらに北村議員は、100万人単位で外国人を受け入れることを想定した場合、日本と同等以上の治安水準にある国に対象を限定すべきだという考えを示しました。
この発言を聞いて、私は少し考え込んでしまいました。
日本はこれから人手不足が深刻になると言われています。
近所のコンビニでも、飲食店でも、工場でも、外国人スタッフが働く光景は珍しくありません。
その一方で、ニュースで強盗や傷害事件を目にすると、「これから日本の治安はどうなるんだろう」と心配になる人がいるのも自然なことです。
特に小さな子どもがいる家庭や、一人暮らしの高齢者にとって、治安は遠い政治の話ではありません。
夜道を安心して歩けること。
子どもを安心して学校に送り出せること。
家の鍵を閉めれば、落ち着いて眠れること。
こうした日常の安心は、失ってから大切さに気づくものです。
ただ、今回の発言には、もう一つ確認しておきたい点があります。
それは「犯罪率1.8倍」という数字が、具体的に何を表しているのかということです。
数字が大きければ、それだけで危険だと判断していいのか。
外国人の受け入れ人数が増えれば、それに比例して治安は悪くなるのか。
国籍や出身地域で受け入れを制限すれば、実際に犯罪を減らせるのか。
今回は北村議員の発言、警察庁の2025年統計、政府の答弁を確認しながら、外国人犯罪と日本の治安について考えていきます。
北村議員の発言と狙い
北村議員「外国人の犯罪率は日本人の約1.8倍で、殺人3.5倍、強盗3.3倍、傷害2.1倍と高い。100万人単位で外国人を受け入れるなら日本と同等以上の治安の国に限定しないと日本の治安は絶対守れない」
国会でデータが明らかに。今是正しなければ世界一の治安が崩壊してしまいます。
10/27 国会質疑 https://t.co/F36RgXXVhB
— ちびネコ (@will_thought_jp) October 27, 2026
10月27日の国会で何が起きたのか
2026年10月27日、参議院法務委員会で北村晴男議員は、外国人の犯罪傾向を統計に基づいて分析し、入国審査や受け入れ政策に反映させる必要性を訴えました。
特に問題にしたのは、外国人の受け入れを拡大するなかで、犯罪の発生を未然に防ぐ仕組みをどう整えるかという点です。
今回の議論では、主に次のような問題が取り上げられました。
・日本にいる外国人の国籍別検挙状況を詳しく分析すること
・犯罪の発生傾向が異なる国や地域に応じて対策を検討すること
・現行の個別入国審査だけで十分な治安対策ができるのか検証すること
・外国人労働者の受け入れと国内の安全をどう両立させるか考えること
北村議員は、特定の地域からの受け入れ停止や審査の厳格化なども検討対象にすべきだと主張しました。
ここで大切なのは、これは北村議員による政策提案であり、政府が国籍別の受け入れ停止を決定したという話ではないことです。
なぜ100万人単位の受け入れを問題にしたのか
北村議員が強調したのは、外国人を大規模に受け入れる際のリスク管理です。
少人数の受け入れであれば、入国審査や在留管理で個別に確認できることも、受け入れ規模が大きくなると行政の負担が増える可能性があります。
もちろん、人数が増えれば必ず犯罪率が上昇するという意味ではありません。
ただし、行政が管理する対象者が増えれば、在留資格の確認、就労状況の把握、生活支援、地域との調整など、多くの業務が必要になります。
北村議員は、そうした状況を踏まえ、問題が起きてから対応するだけでなく、犯罪を未然に防ぐ政策が必要だと訴えました。
私がこの議論で注目したのは、「外国人を何人受け入れるか」という人数の話だけで終わっていないことです。
入国前の確認をどこまで行うのか。
受け入れ後に誰が生活を支援するのか。
法律違反が起きたとき、誰が責任を持って対応するのか。
こうした具体的な制度設計が問われています。
なお、100万人単位という表現は、大規模な受け入れを想定した問題提起です。この発言だけから、政府が新たに100万人を受け入れると決定したとは言えません。
ベトナム人の検挙状況も取り上げた
今回の質疑では、警察庁の国籍別検挙状況も議論になりました。
報道によれば、北村議員は2025年の来日外国人に関する刑法犯と特別法犯を合わせた検挙人員の国籍別構成比について、ベトナムが32.6%、中国が16.1%だったことを紹介しました。
一方、警察庁資料によれば、比較対象となる2025年6月末時点の外国人在留者のうち、永住者など一定の区分を除いた約349万人に占めるベトナム国籍者の割合は18.2%でした。
北村議員は、検挙人員の構成比と在留者の構成比に差があることを問題視したわけです。
ただし、ここには統計を見るうえで注意点があります。
まず、検挙人員の構成比は、各国籍の人が犯罪を起こす確率そのものではありません。
国籍別の年齢構成、男女比、在留資格、滞在期間、生活環境などが異なるためです。
例えば、ある国籍の在留者に比較的若い労働者が多く、別の国籍には家族や高齢者が多い場合、単純な人口比では同じ条件の比較になりません。
また、刑法犯と特別法犯を合計した数字には、入管法違反など外国人特有の違反類型も含まれます。
そのため、日本人との比較では、何の犯罪を対象にしたのかを確認する必要があります。
この問題は、特定の国籍の人全員に疑いを向けることとは分けて考えたいところです。
どの国籍にも法律を守って暮らす人がいて、犯罪行為を行う人もいます。
必要なのは、個人に対する決めつけではなく、具体的な犯罪の発生状況や背景を確認することです。
山下法相はなぜ慎重だったのか
北村議員の提案に対し、山下貴司法相は、特定の地域の出身という理由だけで一律に入国を制限することは困難だという考えを示しました。
政府側が重視したのは、個々の上陸申請者について入国の可否を判断するという現行制度の考え方です。
仮にある地域で犯罪の検挙割合が高かったとしても、その地域から来る個人が将来犯罪を行うとは限りません。
逆に、治安が良いとされる国から来た人でも、犯罪に関与する可能性はあります。
出身地だけで将来の行動を正確に予測するのは難しいという問題があるのです。
一方で政府は、犯罪傾向の分析や情報収集そのものを否定したわけではありません。
外国人犯罪について客観的なデータを集め、必要な対策に結びつけていくことは重要な政策課題として扱われています。
つまり、北村議員と政府側では、犯罪データを分析する必要性よりも、その結果をどのように入国制限へ反映させるかという点で立場が異なっていたと言えます。
日本の治安を守ることと外国人を受け入れること
この二つは、必ずしも対立するものではありません。
日本の法律を守り、地域社会の一員として生活している外国人にとっても、犯罪が少なく安心できる環境は大切です。
犯罪被害者が日本人なのか外国人なのかに関係なく、被害を防ぐことには意味があります。
また、労働力不足を理由に外国人を受け入れるのであれば、働く環境や生活の安定まで考える必要があります。
受け入れ人数だけ決めて、生活支援やルールの説明を十分に行わなければ、思わぬトラブルが生じる可能性があります。
私は今回の議論を、外国人を受け入れるか受け入れないかという二択だけで見るのはもったいないと感じます。
安心して共に暮らせる仕組みを、どのように作るのか。
そこまで考えることで、初めて具体的な政策の議論になると思います。
犯罪率1.8倍の読み方
2025年の警察庁統計で確認できたこと
それでは、実際の数字を見ていきます。
警察庁が2026年4月に公表した「令和7年における組織犯罪の情勢」によると、2025年の来日外国人犯罪の検挙状況は次のようになっています。
総検挙件数 | 25,480件 | 16.9%増 |
刑法犯検挙件数 | 17,614件 | 31.4%増 |
特別法犯検挙件数 | 7,866件 | 6.2%減 |
総検挙人員 | 12,777人 | 5.0%増 |
刑法犯検挙人員 | 7,333人 | 15.2%増 |
出典:警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」
警察庁は、来日外国人犯罪の総検挙件数と検挙人員について、2023年から2025年まで3年連続で増加したと説明しています。
特に2025年の刑法犯検挙件数は前年より31.4%増えました。
この増加は、見過ごせない統計上の変化です。
しかし、ここで「外国人による犯罪が31.4%増えたのだから、外国人の犯罪率も31.4%上昇した」と考えるのは正確ではありません。
なぜなら、この数字は検挙件数の増加率だからです。
外国人の人口や滞在者数が増えている場合、人口当たりの検挙率とは別の動きになる可能性があります。
また、検挙件数には同一人物による複数の事件が含まれる場合があります。
10件の犯罪について10人が検挙されたケースと、1人が10件に関与したケースでは、検挙件数は同じでも意味が変わります。
そこで検挙人員の数字も確認する必要があるのです。
検挙件数と検挙人員は違う
ニュースを読むときに混同しやすいのが、この二つです。
検挙件数は、警察が被疑者を特定して処理した事件の件数を表す統計です。
一方、検挙人員は、検挙された人の数を表しています。
例えば、同じ人物が複数の窃盗事件に関与している場合、事件の件数と人数は一致しません。
さらに重要なのは、検挙されたことと裁判で有罪が確定したことは同じではないという点です。
警察による検挙は捜査上の段階を表すものであり、最終的な刑事責任はその後の手続きで判断されます。
だからこそ、統計を使って議論するときには、検挙件数なのか、検挙人員なのか、有罪判決を受けた人数なのかを区別する必要があります。
外国人の犯罪率1.8倍は本当なのか
今回、北村議員が示した「約1.8倍」という数字は、外国人と日本人の人口当たり検挙人員の比較に関する主張として理解する必要があります。
参考になるのが、2025年11月の国会答弁です。
当時、警察庁は日本人と在留外国人の検挙人員をそれぞれの人口で割った計算について、外国人が日本人の1.72倍になると説明していました。
ただし、この1.72倍は2024年の資料を基にした数字です。
今回の2025年統計をめぐる約1.8倍という発言とは、対象年が異なります。
警察庁は2025年11月26日の衆議院内閣委員会で、こうした数値の比較について重要な説明をしています。
外国人にはさまざまな滞在期間や滞在目的があり、日本人とは年齢構成も違うため、犯罪率を正確に比較できる統計数値を特定するのは困難だというものです。
これは、人口当たりの計算結果そのものが存在しないという意味ではありません。
計算することはできます。
しかし、その数字をそのまま「外国人は日本人の1.8倍、犯罪を起こしやすい」と断定するには、比較条件に問題が残るということです。
今回の殺人3.5倍、強盗3.3倍、傷害2.1倍という数値についても、北村議員が取り上げた倍率として紹介できますが、対象人数や分母、集計範囲を同じ条件で再計算した結果までは確認できていません。
そのため、警察庁が各倍率をそのまま公式の犯罪発生率として認定した、と解釈するのは避けたいところです。
殺人3.5倍という数字をどう考えるか
殺人という言葉には、誰でも強い不安を感じます。
3.5倍と聞けば、非常に大きな差に思えるはずです。
ただし、重大犯罪の統計では、倍率と同時に実際の人数も確認する必要があります。
例えば、仮に人口当たりの該当者が非常に少ない犯罪であれば、人数の増減によって倍率が大きく動く場合があります。
また、罪名別統計では、未遂を含めるかどうかや、検挙時点での罪名の扱いによって数字が変わることもあります。
大切なのは、倍率が高いから問題ではないと片付けることでも、倍率だけを見て危険だと決めつけることでもありません。
実際に何人が検挙されたのか。
何年の統計なのか。
日本人と外国人で同じ定義を用いているのか。
これらを確認して初めて、比較の意味が見えてきます。
若い人が多い集団と高齢者が多い集団
犯罪統計を読むうえで、年齢構成は無視できません。
日本は高齢化が進んでいる社会です。
一方、就労目的で来日する外国人には、比較的若い年代の人が多く含まれています。
この二つの集団を単純に人口比だけで比較すると、年齢構成の違いが数字に影響する可能性があります。
本来、集団同士の犯罪傾向を詳しく比較するには、年齢別、性別など、条件をできるだけそろえて分析する必要があります。
もちろん、こうした調整をすれば必ず外国人と日本人の差がなくなると決まっているわけではありません。
実際にどの程度の差が残るのかは、統計に基づく検証が必要です。
ここで気をつけたいのは、自分が納得できる数字だけを選ばないことです。
数字が増加しているなら、その事実を確認する。
比較方法に問題があるなら、それも確認する。
私は、この両方を大切にしたいと思います。
外国人が増えたら犯罪も増えるのか
この疑問については、もう少し長い期間で数字を見る必要があります。
NIRA総合研究開発機構が2026年に公表した分析では、2011年から2024年までの在留外国人人口と外国人の刑法犯検挙人員の推移を確認しています。
その結果、在留外国人人口が増加する一方で、刑法犯検挙人員はやや減少しており、両者の間に明確な関係は確認できないとしています。
つまり、少なくともこの期間の集計結果からは、外国人が増えれば必ず犯罪率が上がるとは言えません。
ただし、先ほど見たように2025年の来日外国人犯罪の検挙件数と検挙人員は増加しています。
長期的な分析と直近の増加傾向は、対象期間や集計区分を確認したうえで、両方を見る必要があります。
過去に増加していなかったから今後も安心だと断定することはできません。
一方、直近の増加だけを理由に、今後も同じペースで犯罪が増え続けると予測することもできません。
一つの数字から結論を急がず、継続してデータを見ることが大切です。
外国人犯罪で注目したい組織犯罪
もう一つ、警察庁や研究機関の資料で注目したいのが組織的な犯罪です。
NIRAの資料では、2024年の来日外国人による刑法犯の検挙件数に占める共犯事件の割合は41.1%、日本人は12.5%とされています。
共犯事件の割合には違いがあるわけです。
警察庁も、国外にいる指示役と日本国内の実行役がつながり、窃盗や詐欺などを行う犯罪組織について報告しています。
ここで考えたいのは、国籍だけに注目していても、組織犯罪の実態を十分に把握できない可能性があることです。
重要なのは、誰が指示を出しているのか。
犯罪収益はどこへ送られているのか。
どのように実行役を集めているのか。
偽造身分証や不正な在留資格取得などに関与する者はいないのか。
こうした犯罪の仕組みを解明することは、国籍を問わず犯罪を減らすうえで意味があります。
受け入れ制限の課題
国籍による一律制限には何が難しいのか
北村議員の提案の中心には、犯罪傾向の高い国や地域からの受け入れを制限するという考えがあります。
この政策を考えるときには、いくつかの課題があります。
まず、国や地域の犯罪統計だけでは、入国を希望する個人が将来犯罪を行うかどうかは分かりません。
次に、国際的な犯罪統計の比較にも難しさがあります。
国によって犯罪の定義、通報状況、警察の捜査体制、統計の集計方法が異なるからです。
ある国の犯罪発生件数が少なくても、それが本当に犯罪の少なさを表しているのか、警察に届け出られていない事件が多いのかは、数字だけでは判断できません。
さらに、一律の制限が犯罪防止にどれほど効果を持つのかについても、検証が必要です。
例えば特定の地域から来る人を減らした結果、どれだけの犯罪を防止できるのか。
他の地域からの受け入れに変更した場合、同じ問題が起こらないのか。
こうした点まで確認しなければ、政策の効果は判断できません。
一方で個別審査だけで十分なのか
政府が慎重な姿勢を示したからといって、現行の制度に改善の余地がないという話でもありません。
出入国審査では、申請者の提出書類や在留目的などを確認します。
しかし、過去の犯罪歴をどこまで正確に把握できるのかは、出身国との情報連携や制度に左右されます。
虚偽申請や書類の偽造などがあれば、審査の信頼性にも関わります。
また、入国前に犯罪歴がない人でも、入国後に犯罪を行う可能性はゼロではありません。
これは外国人だけの話ではなく、人の将来の行動を完全に予測することができないという問題です。
だからこそ、入国前の審査に加えて、入国後の生活や就労の管理、違反行為への対応を組み合わせる必要があります。
制度の効果を高めるためには、実際の犯罪データに基づいて、何が機能していて何が不足しているのかを継続的に検証することが重要です。
外国人労働者を必要とする日本の現実
治安を考える一方で、日本が直面している人手不足も無視できません。
NIRAの資料によれば、2025年10月末時点で日本の外国人労働者は約257万人に達しています。
外国人労働者は、製造業、建設業、介護、飲食サービスなど、多くの分野で働いています。
仮に受け入れを大幅に減らす政策を取った場合、人材不足が深刻な職場では影響が出る可能性があります。
もちろん、企業の人手不足を解消するために、治安対策を軽視してよいわけではありません。
反対に、治安への不安を理由に、外国人労働者が果たしている役割を無視することもできません。
必要なのは、どの分野でどれだけ人手が足りないのかを具体的に把握することです。
そのうえで、国内人材の確保、賃金や労働条件の改善、設備投資による省力化、外国人労働者の受け入れをどのように組み合わせるかを考える必要があります。
外国人労働者を増やすことだけが、人手不足への対応策ではありません。
受け入れ企業の責任も考えたい
私は今回の議論で、受け入れ企業の責任についても考える必要があると感じました。
外国人労働者を雇用する企業には、労働関係法令を守り、適切な労働条件を整える責任があります。
日本の法律や生活ルールを十分に理解できていない場合、必要な説明を受けられる環境も重要です。
例えば、賃金が支払われない。
約束されていた仕事内容と違う。
困ったことがあっても相談できない。
こうした問題を放置してよいはずがありません。
もちろん、労働環境が悪いから犯罪が許されるということではありません。
法令違反には、行為の内容に応じた責任が伴います。
ただ、トラブルが深刻化する前に相談できる仕組みや、違法な雇用を防ぐ仕組みを整えることは、地域の安心にもつながります。
受け入れる側の企業や行政にも、制度を適切に運用する役割があります。
日本人も外国人も被害者になる
外国人犯罪というテーマでは、どうしても犯行を行った人の国籍に注目が集まります。
しかし、忘れてはいけないことがあります。
犯罪の被害者には、日本人も外国人もいるということです。
日本に暮らす外国人が詐欺や暴力の被害に遭うこともあります。
言葉の壁があることで、被害を相談しにくい場合も考えられます。
特に組織犯罪では、外国人が実行役として利用されたり、違法な勧誘に巻き込まれたりする問題もあります。
犯罪を防ぐためには、被害者を国籍で区別せず、必要な支援につなげることが重要です。
日本の治安を守るという目標は、日本で生活する人の生命や財産を守ることでもあります。
SNSでよくある三つの勘違い
今回のように大きな数字が注目されるニュースでは、情報の受け取り方にも注意したいところです。
一つ目は、検挙人員の人口比をそのまま犯罪発生率と考えることです。
数字が近い意味を持つ場合でも、統計上は区別する必要があります。
二つ目は、一部の犯罪事件を外国人全体の特徴として考えることです。
実際に起きた犯罪は厳正に対処すべきですが、その行為の責任を同じ国籍の人全員に広げることはできません。
三つ目は、検挙件数が増えたという理由だけで、外国人の受け入れ拡大が原因だったと判断することです。
因果関係を判断するには、人口構成や在留状況、犯罪の種類、捜査状況など、複数の情報が必要です。
SNSでは短い投稿ほど広まりやすく、強い言葉ほど注目されがちです。
けれども、ニュースを読んで不安になったときこそ、元の資料を確認することが役立ちます。
これから政府に求められる情報公開
今回の質疑をきっかけに、外国人犯罪の統計をどのように公表するかという問題にも目を向けたいと思います。
例えば、同じ基準で整理した年齢別・性別の検挙人員比率。
在留資格別の検挙状況。
犯罪の種類ごとの増減。
長期間の推移。
これらを分かりやすく示せば、国民が政策を理解するための材料になります。
数字を公開するだけでなく、その数字で分かることと分からないことを説明することも大切です。
単純比較が難しいのであれば、なぜ難しいのか。
どのような資料を集めれば、より正確に分析できるのか。
その説明があれば、議論の質は変わります。
データを隠す必要も、数字を必要以上に恐れる必要もありません。
確認できる事実を共有しながら、政策を考えていくことが重要です。
私たちの生活で意識できること
治安対策は、国会や警察だけの仕事ではありません。
日常生活でも、犯罪被害を防ぐためにできることがあります。
例えば、SNSで知り合った人から急に金銭を要求された場合には、相手の国籍に関係なく慎重に対応する。
不審な求人や高額報酬の勧誘には、安易に応募しない。
地域で不安な出来事があった場合には、根拠のない噂を広めるのではなく、警察や自治体の公式情報を確認する。
こうした小さな行動も、安心して暮らせる環境づくりにつながります。
特に、犯罪事件の映像や投稿がSNSで拡散されたときには、投稿内容が事実として確認されているかを見ることが重要です。
撮影日時や場所が違う動画が、現在の事件として紹介される可能性もあります。
「みんなが言っているから本当」と考えるのではなく、警察の発表や信頼できる報道を確かめたいものです。
今後、注目したいポイント
外国人受け入れと治安に関する議論は、今回だけで終わる問題ではありません。
今後、注目したいのは、政府がどのようなデータを集め、どのような具体策を示すかという点です。
受け入れ規模をどう管理するのか。
犯罪歴の確認や情報共有をどう強化するのか。
組織的な窃盗や詐欺にどう対応するのか。
受け入れ企業の管理をどう適正化するのか。
地域社会で起きるトラブルをどう防ぐのか。
こうした政策を個別に確認すれば、単に外国人の受け入れに賛成か反対かという話ではなくなります。
治安対策にどれだけの効果があるのか、実施に伴う負担や課題は何かまで考えられるようになります。
私は、今回のニュースがその議論を深めるきっかけになればいいと思っています。
まとめ
北村晴男議員が2026年10月27日の参議院法務委員会で示した外国人犯罪に関する数字と、受け入れ制限の提案について整理してきました。
今回、確認できた重要な事実があります。
2025年の警察庁統計では、来日外国人による刑法犯の検挙件数は17,614件で、前年から31.4%増加しています。
一方、人口当たりの検挙人員比率を外国人と日本人で比較する場合には、年齢構成や滞在期間などの違いに注意する必要があります。
北村議員の約1.8倍という主張についても、その数字がどのような集計条件から導かれたのかを確認することが欠かせません。
また、殺人3.5倍、強盗3.3倍、傷害2.1倍という倍率は、今回の発言で示されたものですが、比較の対象や計算条件まで確認する必要があります。
政府は、出身地域だけを理由に一律に入国を制限することには慎重な立場を示しています。
ここには、治安を守るための対策と、個人ごとの公平な審査をどのように両立させるかという課題があります。
私が今回の議論で大切だと感じたのは、治安に関する不安を軽く扱わないこと、そして統計から分からないことまで決めつけないことです。
犯罪の増加が確認されたなら、その原因や背景を調べ、必要な対策を考える。
比較条件に違いがあるなら、それを明らかにしたうえで議論する。
国籍に関係なく、犯罪に対しては法と証拠に基づいて対応する。
日本で暮らす人たちが、安心して働き、生活し、子どもを育てられる社会を維持することが大切です。
今回の北村議員の発言をきっかけに、外国人受け入れ政策の議論が、数字と具体策を確認しながら進んでいくことを期待しています。
参考資料・記事URL
・警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」
クリックしてr7jyousei_shuusei.pdfにアクセス
・国会会議録検索システム「2025年11月26日 衆議院内閣委員会」
https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=121904889X00420251126
・法務省「令和7年版犯罪白書」
https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/72/nfm/n72_2_4_9_2_1.html
・NIRA総合研究開発機構「外国人労働者とどう向き合うか」
https://www.nira.or.jp/paper/policy-co-creation/2026/07.html
・産経新聞「外国人政策『犯罪率高ければ地域別に受け入れ停止も』保守党・北村氏提案」(2026年10月28日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/b24e55a5ec641bd41b6b5428df1e086f38e1c940
・北村晴男議員 2026年10月27日参議院法務委員会質疑動画
※記事内の約1.8倍、殺人3.5倍、強盗3.3倍、傷害2.1倍は議員の発言として紹介しています。各倍率について2025年の原統計からの独立した再計算までは確認していません。

