こども家庭庁7.8兆円要求の衝撃!少子化はなぜ止まらないのか?

税金の問題

ニュースを見た瞬間、心の中でそう呟いた人は全国に相当数いたはずだ。こども家庭庁が2027年度予算で要求する額、なんと約7.8兆円。庁として設立されてからわずか数年しか経っていないのに、要求額は毎年のように過去最多を更新し続けている。少子化を食い止めるための組織のはずなのに、肝心の子どもの数はむしろ加速度的に減っていく。この矛盾を前にして「もう笑うしかない」と感じてしまうのは、決してひねくれた見方ではないと思う。今回はこの最新予算要求の中身を整理しながら、なぜ「お金を積めば積むほど子どもが減る」という不思議な現象が起き続けているのか、識者の指摘やネット上の反応も交えてじっくり掘り下げていく。

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7.8兆円という金額、実際どれくらいの規模なのか体感してみる

まず数字の話をしよう。こども家庭庁は2027年度当初予算案の概算要求で、2023年の設立以来最大となる約7.8兆円を求める方向で調整に入っている。しかも前年度の要求よりおよそ3200億円多いという、右肩上がりっぷりである。

7.8兆円と言われてもピンとこない人のために、少し身近なサイズに変換してみる。日本の一般会計予算全体がだいたい110兆円台なので、こども家庭庁だけでその1割近くを占める計算になる。国内の有名な大企業がまるごと1社分の年間売上を軽く超える金額を、一つの省庁が「子ども関連」だけで動かしているというスケール感だ。町内会の会計係が急に国家予算級の帳簿をつけ始めたようなもので、正直めまいがする人もいるだろう。

では、このお金は何に使われるのか。目立つのは二つの柱だ。ひとつは深刻化する子どもの自殺対策。2025年の小中高生の自⚪︎者数が538人と過去最多を更新したことを重く見て、対策に重点的な予算配分がなされる方向だという。地域の学校や医療機関、警察が連携する協議会向けの新しい交付金を創設したり、自治体レベルで自殺危機対応チームを設置したりと、命に直結する分野への投資が強化される。もうひとつがSNS環境の整備で、子どもが安全にネットを使えるようにするための費用が積み増される。

背景にも触れておきたい。高市政権は「補正予算依存からの脱却」を掲げており、これまで補正予算でその都度計上していたような費用も、最初から本予算にまとめて盛り込む方針だという。その一方で、既存の補助金については見直しを行い、約130億円ほどはカットする予定もある。つまり単純な「バラマキ増量」ではなく、予算の組み方そのものを変えようとしている面もある、というのはフェアに書いておくべきところだろう。

とはいえ、である。金額だけを見れば「過去最多」「毎年更新」という見出しが躍り、家計が物価高でヒイヒイ言っている庶民からすれば、桁違いの数字に感情がついていかないのも無理はない。SNSでは早速「また増えたのか」「この金額で本当に効果が出ているのか」といった疑問の声が広がっている。

予算を増やすほど子どもが減るという、笑えない皮肉

ここからが本題だ。単に「予算が多い」というだけなら、まだ話は簡単だった。問題は、この予算増加と出生数の推移を並べてみると、まったく逆方向に進んでいるように見えることにある。

独身研究家として知られる荒川和久氏は、これまで繰り返しこの点を指摘してきた。少子化担当大臣が設置された当時、年間3.7兆円だった家族関係政府支出は、その後3倍近くまで膨らんだにもかかわらず、同じ期間の出生数はおよそ3割も減っているという。予算を増やせば出生数も比例して伸びるはずだという単純な発想が、現実のデータではまったく裏付けられていないというわけだ。

さらに別の集計でも、2000年対比で予算がおよそ3倍に増えている一方、同じ期間で婚姻数はおよそ25%減、出生数はおよそ27%減という結果が示されている。予算を減らせと言いたいわけではないし、増やしたことが直接少子化を加速させたと因果関係を断定するのも乱暴だ。しかし「増やせば改善する」という前提そのものが、データを見る限りかなり怪しいというのは冷静な事実として受け止める必要がある。

実は日本だけの話ではない

面白いのは、この現象が日本だけの特殊事情ではないという点だ。子育て支援に多額の予算を投じている韓国や台湾、シンガポールでも、予算を増やせば増やすほど出生数は減り続けるという皮肉な結果になっており、欧州でもフィンランドの出生率がいつの間にか日本と同水準まで下がっているという報告もある。北欧のように手厚い子育て支援を実現している国ですら、この法則から逃れられていないのだから、単純な予算論では説明がつかないことがよくわかる。

想像してみてほしい。真面目に家計をやりくりしながら子育てをしている「田中さん夫婦(仮)」がいたとする。彼らのもとに毎年ニュースで「過去最多の予算」という文字が届く。しかし実際の生活実感としては、物価は上がり続け、手取りは思うように増えず、保育園の順番待ちや教育費の不安は消えない。数字上は「支援が手厚くなっている」はずなのに、生活の実感としてはむしろ厳しくなっている。この温度差こそが、SNSで「予算増やして子ども減らしてどうする」という皮肉めいた投稿があふれる理由なのだろう。

本当に足りないのは「お金」ではなく「結婚できる将来」かもしれない

では何が本質的な問題なのか。興味深いのは、「少子化」ではなく「少母化」という視点だ。婚姻数の減少と出生数の減少がほぼ完全に一致していることから、出生数が減っているのはすでに結婚している夫婦が子どもを産まなくなったからではなく、そもそも結婚する人自体が減っているからだという指摘である。

つまり、いくら児童手当や保育無償化といった「すでに子どもがいる家庭」向けの支援を積み増しても、そもそも結婚して家庭を持つ入口に立てない20代が増えている限り、出生数の底上げにはつながりにくい。20代の初婚率の低下こそが構造的な本丸であり、そこに向き合わない限り、いくら予算を積んでも数字は動かないという理屈だ。

これはX上の一般ユーザーの声とも重なる部分が多い。将来の年収見通しが立たない、正社員として安定した生活基盤を築くこと自体が難しい、結婚や出産を考える以前に、まず自分一人の生活を維持するだけで精一杯という声は、今の20代・30代から数えきれないほど上がっている。子育て世帯への給付をどれだけ厚くしても、その手前の「結婚して子どもを持とうと思える将来設計」が描けなければ、そもそもスタートラインに立つ人自体が増えない。

もちろん、フェアに見るなら反論もある。今回の予算増額の主眼は、必ずしも出生数そのものの底上げだけではなく、深刻化する子どもの自殺対策やSNS環境の整備という、すでに生まれている子どもたちの命と安全を守るための投資という側面が大きい。これは出生率とは別の物差しで評価されるべき重要な政策であり、「出生数が増えないから無駄」と単純に切り捨てるのはやや乱暴だろう。予算と出生率の間に見える負の相関も、あくまで別の要因が絡み合った結果である可能性が高く、「予算を増やしたせいで子どもが減った」と因果を逆転させて語るのは正確ではない。

とはいえ、少子化対策という文脈で語られる予算である以上、国民が「本当に効果が出ているのか」と疑問を持つのは自然な反応だ。数字を都合よく切り取るのではなく、何にどれだけ使い、その結果どうだったのかを検証し続ける姿勢こそが、今の政治に一番求められているのかもしれない。

まとめ

最後に、今回の内容を3つのポイントに整理しておく。

一つ目は、こども家庭庁が要求する2027年度予算は約7.8兆円で設立以来最多となり、子どもの自殺対策やSNS環境整備に重点が置かれているという事実だ。

二つ目は、過去数十年にわたって子育て関連予算がおよそ3倍に膨らむ一方で、出生数や婚姻数はむしろ大きく減少しており、この負の相関は日本に限らず韓国やフィンランドなど海外でも同様に見られる現象だという点だ。

そして三つ目は、少子化の本質は「すでにいる家庭への給付の多寡」ではなく「そもそも結婚できる将来設計を描けるかどうか」にあり、そこに正面から向き合わない限り、予算をいくら積んでも数字は動きにくいという構造的な課題である。

お金を配ること自体は否定されるものではない。ただ、その使い道と効果を冷静に検証する視点を、私たち自身も持ち続けたい。

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