パニック障害を経験すると様々な場所が苦手になります。
その中でもスーパーの人混みやレジが苦手な方もいます。
今回はそんな方の体験談を紹介したいと思います。
うつ病からパニック障害へ
パニック障害の発作のきっかけは、満員電車の中でした。段々息苦しくなり、深呼吸をして落ち着こうとしても駄目で、その内段々意識が遠のいていきました。
“あと一駅だから頑張れ”などと自分を励ましながら、なんとか目的の駅までたどり着きました。
しかしその駅は、県内で一番大きな駅で新幹線も止まる駅。当然朝のラッシュ時はホームは人で溢れかえります。
とりあえずどこかに座りたいけど、そんな人ごみの中でベンチを探す余裕もありません。
迷惑にならないように、大きな柱の陰にしゃがみこみ、呼吸を整えていました。その間に、2名の若い女性がそれぞれ声をかけてくれました。
「大丈夫ですか?人を呼んできましょうか?」と。
ありがたい、と思いながらもまだ十分に話せる状態ではありませんでした。
苦しい呼吸ながらもなんとか「大丈夫です…」と答えて、そのまま大きな柱の陰で呼吸を整えていました。
そんなことが2回ほどありました。
心療内科でデパスを処方される
3度目は、目的の駅まで我慢する事ができずに、途中の駅で降りてしまいました。
そして、駅のベンチに座っていたけれどそれでもしんどいのは治まりません。
“もういいや”と思って、ベンチに寝転んでいました。
電車がきて満員電車の人たちに見られて恥ずかしかったけど、もうそうすることしかできない状態でした。
その頃、別のメンタル系の病気で心療内科に通院していたので、その話を先生に話しました。
すると、「パニック発作だね」と言われ、頓服としてデパスを処方してくれました。
これで安心だ、と思っていた矢先、何の心の準備もせずに近所のショッピングモールに買い物に行ったら、ほのかにあの息苦しくなる予感がしてきました。
スーパーで買い物が出来なくなってしまった
そのショッピングモールはベンチがたくさんあったので、とりあえず座って落ち着くのを待ちました。
落ち着いたので買い物をしようとすると、またあの予感がしてきてベンチに座る、の繰り返しでした。
その日は諦めて家に帰りました。仕方がないので、もっと小さな食料品だけでワンフロアのスーパーに行きました。
でも、買い物が終わり、レジに並んでいると段々苦しくなってきました。
サッカー台で荷物を詰める頃には、意識が遠くなり、倒れてしまいました。
店員さんが椅子と水を持ってきてくれて、それに座ってしばらくしていると落ち着きました。
もう、このスーパーでも駄目なのか、と思い、あと行けるのは近所のコンビニしかありません。さすがにコンビニでパニック発作は出ないだろう、と思い、深夜のコンビニに行きました。
ところが、レジで並んでいると段々苦しくなってきました。
並んでいるといっても私の前では一人清算しているだけです。私の番になる頃には意識は遠のき、店員さんが口をパクパクしているのが見えるだけで、何を言っているのか聞き取れません。
適当に「いいです」「いいです」と繰り返し、なんとかお会計を終わらせました。
コンビニから急いで外に出て、ドアの横で思わず座り込み、呼吸を整えました。
コンビニでこんな風になるんだったら、今後食料の調達はどうすればいいんだろう、と漠然とした不安を覚えました。
後日、病院で先生にそれらの話をしました。
すると、「閉所恐怖症だね」と言われました?閉所恐怖症?全然閉所じゃないんですけど?と思って聞いて見ると、例えばレジで“ここに並んでないといけない、ここから動いちゃいけない”というパターンの閉所らしいのです。
それまで、私は人が多いところが駄目なのかと思っていたので、すごく意外でした。うつ病の方もだんだんと良くなり、体力もついてきた今では、パニック発作になることはあまりありません。
なので、実験として、サッカーのスタジアムにサッカー観戦に行って見ました。
すると見事にパニック発作になりました。それも1回といわず何回も。きっと場所に慣れてないからだ、と思い、それから暫くしてもう一度トライしてみました。
でも駄目でした。
ベンチを見つけて座ってはデパスを飲んで、の繰り返し。
駄目な場所もあるんだな、と思ってそこは諦めて、行ける所で楽しんでいます。