痴漢が原因で電車に乗れなくなってしまった人がいます。
そのトラウマからパニック障害になってしまった体験談を紹介したいと思います。
田舎住みの学生だった頃の痴漢エピソード
年齢:25才性別:女性仕事:専業主婦
これは当時専門学生だった私が体験した話です。
その日も、朝の通学時間は混み合っていました。
私の家から学校までの距離は時間に換算すると約2時間かかります。
地元は田舎なので早朝のバスは遅くて本数も少なく、大きな駅に着くと丁度朝のラッシュの時間帯です。
ぎゅうぎゅうに詰め込まれた電車の中で、痴漢に遭いました。
こわいと思うよりも恥ずかしい。
誰かに助けを求めることもできず、肌の上を這う指がただただ気持ち悪くて、早く終われと心の中で思っていました。
電車に乗るたび恐怖を感じる
解放されたとき、電車から降りてその場に座り込んでしまいました。
ただただ気持ち悪くて、吐き気がして、それでも学校に行かなければと歩みを進めました。
学校からは「その程度で泣くなんて」と言われ、当時付き合っていた恋人には「気持ちよかった?」と笑われ、私は今まで通り「なにもなかった」生活をしなければならないのだと気付きました。
しかし、「なにもなかった」生活なんてありません。
人混みの中にいると、息が苦しくなる。
電車に乗ろうとすると、呼吸ができなくなる。
目の前の景色が歪み、ぐるぐると回り始める。
汗がとまらなくなって、涙が溢れる。
口からはヒュウヒュウという音がこぼれ、顔はぐちゃぐちゃに歪んで、視界が暗くなるのです。
逃げ出したいと考えても身体が動かなくて、その場にしゃがみ込む。
蹲って、胸を押さえて涙を流す。
傍から見たら異様な光景でしょう。
それでも私の中ではたくさんの感情が溢れていました。
「たすけて」「このままでは死んじゃう」「息ができない」「たすけて」学校に通わなくなった私を心配した両親に連れていかれたのは病院でした。
内科を受診するも、異常なし。
心臓病専門病院に連れていかれるも、異常なし。
何故普通に生活できないんだろう。
原因はパニック障害
なんとか学校に行ったとしても、20人ほどいる教室でもこわいと感じてしまう。
その後、授業に出ることが出来ず、学校のカウンセリングに通うことになりました。
カウンセリングの先生に勧められた病院は精神科です。
そこで初めてパニック障害と告げられました。
先生に渡された薬はソラナックス。
飲んでいても効いたのか効いていないのか、いまいちわかりませんでした。
学校を中退し、その後も通院を続けました。飲み続けているうちに少しずつ電車に乗れるようになりましたが、思い出すとまただめになってしまいます。
あの時、一番こわかったのは「また同じように苦しくなるのではないか」という不安です。
あの不安に押し潰されそうになって、逃げだしたいと考えてしまうことが恐ろしいのです。
当時の恋人とは別れ、今は症状を理解してくれる方と結婚しました。
理解ある人がいてくれると心強いと思えます。
克服できたのかはわかりませんが、調子が悪いと思ったら逃げればいいと自分に言い聞かせることで、なんとか生活できるようになりました。
今でもお守り代わりにソラナックスを持ち歩いています。